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フリーモーションミシン(千鳥ミシン)について

こんにちは、Astream刺繍です。

前回、刺繍にはいろいろな方法があるというお話をしました。
“手刺繍”と“ミシン刺繍”、さらには“足踏みミシン刺繍”──。
今回は、その中でも特にユニークな存在、「足踏みミシン(フリーモーションミシン)」について、少しだけ専門的に、でもできるだけわかりやすくご紹介してみようと思います。


■ 「足踏みミシン刺繍」ってなに?

刺繍ミシンと聞くと、パソコンでデータを作って、ボタンひとつで自動的に模様が縫われていく“全自動ミシン”を思い浮かべる方が多いかもしれません。

でもその前の時代、まだ刺繍が“手と感覚”に頼っていたころに活躍していたのが、この「足踏みミシン」。正式には「フリーモーション刺繍ミシン」と呼ばれ、かつては千鳥ミシンとも呼ばれていたそうです。

私の工房にも、この“職人の魂が宿るような機械”があります。


■ どうやって動くの?

通常の直線ミシンは“前後にしか進まない”構造ですが、フリーモーションミシンはちょっと違います。

なんと“前後左右”に布を動かせるんです。しかも、動かすのは自分の“手”と“膝”!

  • 生地押さえがついておらず、布を自由に滑らせられる

  • 膝で右側のレバーを動かして「左右の振れ幅」を調整

  • 同時に、足元のペダルでミシンのスピードもコントロール

つまり、右膝と両手と右足を同時に使うという、まさに“全身を使う刺繍”。
直線ミシンとはまったく別物の感覚です。


■ 実際にやってみると…

私も最初は職人さんに教わりながら、数ヶ月かけて練習しました。
「思ったよりも自由が利かない」「糸が切れやすい」「手元が追いつかない」…など、想像以上に難しい!

でもそれだけに、完成したときの感動は大きく、
たとえばスカジャンの“龍”や“虎”の刺繍など、ダイナミックな曲線や個性的な表現は、このミシンだからこそ生まれるものです。

このミシンを長年使ってきた刺繍職人さんたちの技術は本当に尊敬に値します。


■ どんな場面で使われてきた?

昔は「名前入れ」や「家紋」などのオーダーが多く、

一品モノの注文を職人が一人で丁寧に仕上げるという、まさに**“クラフト刺繍”の最前線**でした。

現在では、全自動のコンピューターミシンに置き換わってきていますが、
逆に今、手間のかかる工程をあえて選ぶブランドや作家さんも増えているんです。


■ まとめ|次回予告

刺繍って、技術だけでなく「どう刺すか」「どの機械を使うか」で表情がまったく変わってきます。
そして、そのひとつひとつに“人の手”と“歴史”が詰まっている。

次回は、このミシンの使い方やコツをもう少し詳しくお届けする予定です。

今後は動画も配信していきますので「音や動きも見てみたい!」という方は、ぜひ楽しみにしていてくださいね

フリーモーションミシン

生地押さえのある直線ミシン

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