
刺繍の舞台裏|縫い重ねから生まれる表情
はじめに
前回のブログで「次回は制作工程を少しご紹介します」とお伝えしていました。
今回はそのお約束どおり、刺繍が仕上がるまでの舞台裏をほんの少しだけお見せします。
依頼者の方からよくいただく質問に、
「どうやってこの表情を再現しているの?」
「本当に写真のまま刺繍になるの?」
というものがあります。
ここでは細かい技術名は出さず、“どんな工夫をしているか” を依頼者目線でお伝えします。
毛並みを自然に見せる工夫
動物の毛並みは、光の当たり方や角度によって見え方が大きく変わります。
そこで刺繍では、糸の方向や重ね方を調整しながら、一本一本の毛が流れるように見える仕上がりを目指しています。
特に顔まわりや耳の内側などは繊細で、ただ縫うだけでは「固い表情」になりがちです。
そこで、角度を少し変えたり、糸を重ねたりすることで、柔らかさや温かみを表現します。
試し縫いで確かめる安心プロセス
本番に入る前には、必ず試し縫いを行います。
これは「色合い」「表情のバランス」「毛並みの方向」を確認する大切な工程です。
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最初は大まかな色味と形を確認
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次に表情をより自然に見せるための微調整
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最後に光や影の入り方を整えて完成へ
このステップを踏むことで、依頼者様と一緒に「ここなら安心」と思える仕上がりに近づけていきます。

最初の画像をパソコンにデータを読み込ませ、刺繍用のプログラムを作っていきます

試し縫いの段階です。まだ全体的に色合い、バランスが必要です。

こちらが最終段階です。この段階でご依頼主に確認していただきます。ご家族がわかるワンちゃん雰囲気や表情が伝われば完成です
仕上がりに宿る“その子らしさ”
ほんの数針を加えるだけで、表情は大きく変わります。
たとえば目の中に小さな輝きを入れるだけで、**「生き生きとした表情」**になるのです。
依頼者様からも、
「うちの子がそこにいるみたい」
「抱きしめると気持ちが落ち着きます」
という声をいただいています。

目元の毛並みの表現、目の輝き、リアルさを表現しています。目はやはり一番大事で、眼球、虹彩、瞼、がしっかりと表れるように刺繍します
次回予告
次回は、これまでにいただいた依頼事例をギャラリー形式でご紹介します
どの作品も、それぞれの飼い主さまの想いに応える形で仕上げています。
まとめ
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刺繍は「糸の流れ」「光と影」を調整しながら、毛並みや表情を再現
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本番前の試し縫いで依頼者と一緒に確認し、安心できる仕上がりに
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最終的には「その子らしさ」を表現することが一番の目的
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